まずは、NYダウとNASDAQの過去20年の価格の推移をご覧ください。

確定拠出年金(DC)の投資先を考えるうえで、まず押さえておきたいのが「長期で市場全体がどのように成長してきたか」という視点です。その代表例として、NYダウ(ダウ工業株30種平均)とNASDAQ総合指数があります。添付グラフのとおり、両指数は2005年10月から現在まで一貫して右肩上がりの成長を続け、世界の株式市場をリードしてきました。NYダウは、2005年10月の11,440ドルから47,562ドルと約4倍、NASDAQは同期間、2,120ポイントから23,742ポイントと約11倍になっています。
NYダウはアメリカの大企業30社で構成され、長い歴史を持つ“米国経済の体温計”ともいえる存在です。景気後退やリーマンショック、コロナ禍といった大きな経済ショックが何度も訪れましたが、そのたびに企業の収益力改善と経済成長により力強く回復し、長期的には着実に価値を積み上げてきました。特に直近20年は、グローバル化の進展や金融緩和、デジタル産業の伸長が指数を押し上げています。
一方、NASDAQ総合指数はIT・AI・半導体・バイオなど、成長企業を多く含むハイテク色の強い指数です。構成銘柄は米国の新興企業から巨大テック企業まで幅広く、イノベーションの波を反映して、NYダウを上回るペースで成長を遂げてきました。アップル、マイクロソフト、アマゾン、エヌビディアなど、現代の世界経済を牽引する企業群がNASDAQを押し上げてきたといえます。
両指数の20年の推移は、「経済と企業の成長は短期では揺れ動くが、長期では上昇していく」という事実を雄弁に物語っています。これは長期・積立・分散が基本となるDC投資において非常に重要な示唆です。もし途中で相場が大きく下落しても、慌てず積立を続けることで、結果的に成長の果実をしっかりと受け取れる可能性が高まります。
シリーズ第1回では、米国株式市場の代表であるNYダウとNASDAQの長期推移から、DCにおける「成長資産」の重要性を確認しました。次回は、日本株式市場を見ていきます。