近い将来使うお金は、どう準備する?
前回は、第1の財布である「生活資金」についてお話ししました。
毎月の生活費や、突然の病気・失業などに備えるお金は、増やすことよりも、必要なときにすぐ使えることが大切だという内容でした。
今回は、第2の財布である「近い将来使うお金」について考えてみましょう。
近い将来には、大きな支出が待っている
会社員の生活には、毎月の生活費とは別に、まとまったお金が必要になる場面があります。
例えば、住宅購入の頭金、子どもの入学金や教育費、自動車の購入や買い替え、家族旅行や自宅のリフォームなどです。
これらのお金には、共通する特徴があります。
それは、「いつ頃、いくら必要になるのか」がある程度わかっているということです。
例えば、3年後に自動車を買い替えるために300万円必要なら、毎月約8万3,000円を積み立てれば、3年間で300万円になります。
目的と時期が決まっていれば、計画的に準備することができます。
3年後に使うお金を株式で運用してよい?
ここで考えていただきたいことがあります。
3年後に住宅購入の頭金として500万円を使う予定があるとします。
その500万円を株式型投資信託で運用していたらどうでしょうか。
株価が上昇すれば、500万円が600万円になるかもしれません。
しかし、反対に400万円に値下がりする可能性もあります。
もし住宅を購入する直前に株価が大きく下落したら、購入計画を変更しなければならなくなるかもしれません。
株式は長期的な資産形成に適した選択肢の一つですが、短期間では大きく値動きすることがあります。
つまり、「いつ使うか決まっているお金」と「長期間使わないお金」では、適した運用方法が違うのです。
第2の財布は「安全性」と「使う時期」が重要
近い将来使うお金を準備するときには、次の3つを考えることが大切です。
① いつ使うのか
1年後なのか、3年後なのか、5年後なのか。
② いくら必要なのか
住宅購入なら500万円、教育費なら200万円というように、目標金額を決めます。
③ どこに預けておくのか
使う時期が近いお金は、普通預金や定期預金など、元本の安全性を重視した金融商品が基本になります。
例えば、3年後に必要な資金なら、満期がその時期に合う定期預金を利用する方法もあります。
ただし、預金であってもインフレによって購買力が低下する可能性があります。
また、定期預金の中途解約には金利面の制約がある場合があります。
大切なのは、少しでも高い利回りを追いかけることではなく、必要な時期に必要な金額を用意できることです。
NISAを使えば安全になるわけではない
最近では、NISAを利用して投資信託を購入する方が増えています。
NISAは、投資によって得られた利益が非課税になる制度です。
しかし、ここで注意していただきたいことがあります。
NISAは税制優遇の制度であって、元本を保証する制度ではありません。
例えば、NISAで株式型投資信託を購入しても、株価が下落すれば資産価値は減少します。
非課税だからといって、3年後に必要な住宅購入資金をすべてNISAで運用することが適切とは限らないのです。
NISAを利用するかどうかを考える前に、まず「そのお金はいつ使うのか」を確認することが重要です。
「使う予定のあるお金」と「余裕資金」を分ける
例えば、預貯金が500万円ある会社員がいたとします。
そのうち300万円は3年後の自動車購入資金、100万円は生活予備資金、残り100万円は当面使う予定がないお金だとします。
この場合、500万円すべてを同じ方法で管理する必要はありません。
自動車購入資金の300万円は安全性を重視する。
生活予備資金の100万円は、いつでも引き出せるようにする。
そして、当面使う予定のない100万円については、将来のための運用を検討する。
このように、お金に役割を持たせることが、資産管理の基本なのです。
「増やすこと」より「目的を達成すること」
資産運用というと、どうしても「何%で運用できるか」「どの投資信託が値上がりするか」に関心が向きがちです。
しかし、第2の財布の目的は、お金を大きく増やすことではありません。
住宅を購入する。子どもを進学させる。自動車を買い替える。
そうした人生の計画を、予定どおり実現することが目的です。
お金は、増やすこと自体が目的ではなく、人生の希望を実現するための手段です。
近い将来使うお金については、そのことを忘れないようにしたいものです。
次回は、第3の財布である「老後資金」について考えます。
老後資金は、生活資金や近い将来使うお金とは異なり、10年、20年、30年という長い時間をかけて準備できる場合があります。
なぜ老後資金には「長期運用」という考え方が重要なのでしょうか。
確定拠出年金の特徴も交えながら、ご説明したいと思います。