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会社員のための「3つの財布」①

生活資金は、いくら持っておけばよい?
皆さんは、ご自身の預貯金がいくらあるか把握していますか?
では、その預貯金は「何のためのお金」でしょうか。毎月の生活費でしょうか。旅行や自動車の購入資金でしょうか。それとも老後のためのお金でしょうか。
実は、お金を上手に管理するためには、「何のために、いつ使うお金なのか」を考えることが大切です。
今回から4回にわたり、会社員のための「3つの財布」というテーマで、資産形成の基本について考えてみたいと思います。

お金には「3つの財布」がある
私は、お金を次の3つに分けて考えることをお勧めします。

第1の財布:生活資金
毎月の食費、住居費、光熱費など、日々の生活に必要なお金です。

第2の財布:近い将来使うお金
住宅購入、教育費、自動車の買い替え、旅行など、数年以内に使う予定のあるお金です。

第3の財布:老後資金
定年退職後の生活を支えるために、10年、20年、30年という長期間にわたって準備するお金です。

この3つは、使う時期も目的も違います。当然、お金の管理方法も違ってきます。

第1の財布は「増やす」より「すぐ使える」が重要
今回は、第1の財布である「生活資金」について考えてみましょう。
生活資金は、毎日の生活に欠かせないお金です。
例えば、毎月の生活費が25万円の家庭なら、年間300万円のお金が必要になります。
このお金を株式型投資信託などで運用していたらどうでしょう。
急にお金が必要になったとき、株価が大きく下落しているかもしれません。
生活資金は、値上がりを期待するよりも、必要なときに、必要な金額を使えることが重要なのです。
そのため、生活資金の置き場所としては、普通預金などが適しています。

生活費の3~6か月分は確保したい
生活資金を考えるうえで、もう一つ重要なのが「予備のお金」です。
突然の病気やけが、失業、家電製品の故障など、人生には予想外の支出があります。
そのようなときのために、一般的には生活費の3~6か月分程度を、すぐに引き出せる預貯金で確保しておくことが一つの目安になります。
例えば、毎月の生活費が25万円なら、3か月分:75万円、6か月分:150万円です。
もちろん、家族構成や働き方によって必要な金額は異なります。
共働きで収入が安定している家庭と、収入が変動しやすい自営業者の家庭では、必要な備えも違うでしょう。
大切なのは、「何かあっても、しばらくは安心して生活できるお金」を持っておくことです。

インフレでも生活資金は預金でよい?
これまでのコラムでは、インフレによって預金の実質的な価値が下がることをご説明してきました。
「それなら、預金を持たずに投資した方がよいのでは?」と思われる方もいるかもしれません。
しかし、必ずしもそうではありません。
確かに、長期間使わないお金をすべて預金にしておくと、インフレによって購買力が低下する可能性があります。
一方で、明日の生活費や、突然の支出に備えるお金まで投資に回してしまうと、必要なときに値下がりしているリスクがあります。
つまり、「預金が良いか、投資が良いか」ではなく、「いつ使うお金なのか」が重要なのです。
生活資金は、安全性と換金のしやすさを優先して考えましょう。

資産形成は、生活の安心があってこそ
最近では、NISAや確定拠出年金を通じて投資を始める方が増えています。
長期的な資産形成は、もちろん大切です。
しかし、投資を始めるために生活資金を削り過ぎてしまっては、本末転倒です。
まずは日々の生活を支える第1の財布を確保する。
そのうえで、近い将来に使うお金と、老後のために長期間運用できるお金を分けて考える。
この順番が、無理のない資産形成の第一歩になります。
「お金を増やすこと」よりも、まず「お金を使う目的を整理すること」。
皆さんも一度、ご自身の預貯金が何のためのお金なのか、確認してみてはいかがでしょうか。

次回は、第2の財布である「近い将来使うお金」について考えます。
住宅購入や教育費など、数年以内に使う予定のあるお金は、どのように準備すればよいのでしょうか。

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